妹のノンちゃんは10歳。おとうさんに、おこづかいをもらっても、お菓子を買ってもらっても「ありがとう」って言えません。理由はよくわかりません。恥ずかしいのかもしれません。
「ありがとう」の言葉があふれると、みんながうれしい気持ちになるのに。
おとうさんは、ときどき、ノンちゃんに、「『ありがとう』ってちゃんと言いなさい」
と注意するんだけど、そんなときは、すごく小さな声で、口を動かさずに、下を向いて「ありがと」っていうだけです。
ある夜、おとうさんと、おかあさんが、そのことを話していました。
「このまま、『ありがとう』って言えない大人になったらどうしよう。」と、おとうさん。
「『ありがとう』って、ただ、その言葉を言えばいい、ではないもんね。『ありがとう』と自然に言いたくなるように、『ありがとう』っていうと良いことがあるって、気づかさてあげることが大切みたいだよ」と、おかあさん。
「ありがとう」が言えないノンちゃんが、どうすれば「ありがとう」を言えるようになるか、おねえちゃんのハナちゃんといっしょに考えてみたいと思います。
笑顔とありがとうでつくる わたしたちの家庭
おとうさん: 笑顔で「ありがとう」って言うと、なんだかうれしい気持ちになるよね。 それをみんなが気づけるように、家族みんなで、できるだけたくさん「ありがとう」って言い合うようにしてみようか。
おかあさん: うん、いいね。それに、笑顔で「ありがとう」って言われると、うれしい気持ちになるってことも、ちゃんと伝えられるといいよね。
おとうさん: たとえば、お姉ちゃんがお手伝いしてくれたときは「ありがとう、ハナおねえちゃん! うれしいよ」って笑顔で伝えてみよう。 ハナちゃんも、「よろこんでもらえて、よかった!」って笑顔で返せるようになったら素敵だよね。
おかあさん: ほんと、そうだね。「ありがとう」を交わすときには、笑顔がいちばんだよね。
おとうさん: むかしね、しあわせになる方法について考えた「アラン先生」という人がいて、こんな言葉を残しているんだよ: 「しあわせだから笑うんじゃなくて、笑うからしあわせになるんだ」
おかあさん:素敵な言葉ね。しあわせな家だから笑顔があふれるんじゃなくて、笑顔と『ありがとう』があふれる家だから、しあわせになっていくのね。
おとうさん: そうやって、「ありがとう」と笑顔で家の中をいっぱいにして、ノンちゃんにも見せていこう。 きっと、あたたかい気持ちを感じ取ってくれるはずだよ。
おかあさん: うん、それを私たち家族の約束にしようね。
ありがとうポイントで心ぽかぽか
おかあさん: ハナちゃんって、学校から「ただいま! おなかすいたよ〜」って、元気いっぱいに帰ってくるよね。 明日は、笑顔で「明るく帰ってきてくれて、ありがとう。おやつがあるよ♪」って迎えたいな。
おとうさん: それってすごくいいね。ハナお姉ちゃんも、「うれしい、ありがとう!」って笑顔で返してくれるようになると思うよ。
おかあさん: みんなが「ありがとう」をたくさん言えた日は、なんだか心がふわっと温かくなるよね。 「ありがとう」を言ったり、言ってもらえたりすると、しあわせボーナスポイントが貯まっていく感じ。なんだかいいと思わない?
おとうさん: わかる〜! 会社でも誰かにメールで問い合わせするときに「お問い合わせいただき、ありがとうございます」って添えると、ちょっと気持ちが和らぐんだよ。 返事を書くときも、「ご回答ありがとうございます」って返せる。 問い合わせの場面って、意外と「ありがとう」を使えるチャンスなんだなって感じるよ。
「ありがとう」で心ぽかぽか、家族のしあわせレシピ
おとうさん: うん、ノンちゃんの前で「ありがとう」をいっぱい見せよう。 目に見えるやさしさって、きっと心にも届くからね。
おかあさん: そうね。「ありがとう」は、心と心を結ぶ言葉だと思うの。 ノンちゃんの小さな心にも、きっと届くよ。
おとうさん: それにね、「ありがとう」って言うと、自分の気持ちまで明るくなるんだ。 まるでお日さまみたいに、家の中がぽかぽかしてくる感じがするよ。
おかあさん: 言葉の力ってすごいね。「ありがとう」があるだけで、一日が素敵になるんだね。
おとうさん: うん。これからも、笑顔で「ありがとう」が言える家族でいよう。 それが、ぼくらの“しあわせの作り方”だね。
まとめ:ありがとうが育てる、あたたかい心と家族の絆
このお話は、ノンちゃんが「ありがとう」を言えないことをきっかけに、家族が感謝の気持ちをどう育んでいけるかを考える心の旅です。
わたしたちの家族は、「ありがとう」を命令ではなく、自然に言いたくなる“気持ち”として伝えたいと思っています。そのために、毎日の小さな行動の中で「ありがとう」と笑顔を交わすことの心地よさ、大切さをお互いに伝え合う工夫を重ねていきます。
- 「ありがとう」は、人と人の心をやさしく結ぶ言葉
- 笑顔で交わすことで、感謝の気持ちはもっとあたたかくなる
- 子どもに教えるのではなく、見せることで伝わっていく
- 感謝は家庭だけでなく社会にも広がり、人間関係をなめらかにする潤滑油になる
ノンちゃんもきっと、家族の中で育まれる「ありがとう」のあたたかさに、少しずつ心を開いていくはずです。それは、強要される言葉ではなく、「言いたくなる気持ち」から生まれるものだから。
そして「ありがとう」が飛びかうこの家では、目に見えないやさしさが積み重なり、子どもたちの未来にも、しあわせの種がまかれていくのです。
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