仕事や家事に忙しいおかあさん、遅くまで働くおとうさん。 それぞれが頑張る毎日の中で、食卓にはやさしい言葉が流れています。 「ごちそうさま」「ありがとう」──その小さな言葉が、家族のこころをふんわり包み込み、 今日という一日が、静かに幸せへと変わっていきます。
このお話は、「ありがとう」がめぐる家族の日常を描いた、心あたたまる物語です。
「ありがとう」がつなぐ家族の夕方
かあさんは、夕方5時までパートでお仕事。 それからスーパーに寄って、買いものをして、急いでおうちに帰ってくる。 そして、家族のごはんをつくる。毎日、がんばってる。 ——おかあさん、ありがとう。だいすき。
おとうさんは、7時すぎに、つかれて仕事から帰ってくる。 しばらく休んでから、家族みんなでそろって、ごはんを食べる。
「いただきまーす」
ときどき、おかあさんは言う。 「ありあわせの、かんたんなごはんでごめんね」 「こどもたち中心のメニューで、ごめんね」
でも、おとうさんは、いつも言う。 「ごちそうさま。きょうもありがとう。おいしかったよ」 「きょうも、がんばったね」
おとうさんだって、毎日おしごとをがんばっている。 でも、ありがとうの言葉は、ちゃんとおかあさんに届いてる。
「ごちそうさま、きょうもありがとう」 その言葉を聞くと、なんだか片づけたくなる。 みんなでおさらやおちゃわんを運んで、テーブルをふく。 そしたら、おかあさんが言う。 「みんな、かたづけてくれてありがとう」
わたしは思った。 ——この家の中、「ありがとう」がいっぱいだ。 その言葉に包まれていると、心がぽかぽかしてくる。
こういうことが「ありがとう」の言葉で幸せになるっていうことなのかな。
おかあさんも、おとうさんも、おふろに入って、もう寝ちゃった。
おやすみなさい。おとうさん、おかあさん、 きょうも一日、ありがとう。
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