幸福とは何か気づく。世界三大幸福論(2)アランの幸福論より

幸福論

あなたは、幸福な人生を送りたいと思ったことはありませんか? でも、そもそも「幸せ」とは何なのでしょうか。どんな状態になれば、「幸福だ」と感じられるのでしょうか? 忙しい日々の中で、じっくり考える機会は意外と少ないかもしれません。

本記事では、世界三大幸福論の一つである哲学者アランの『幸福論』を紐解き、より充実した人生を築くためのヒントを探ります。

「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福になるのだ。」 これは、アランの幸福論を象徴する言葉です。幸福とは、偶然訪れるものではなく、日々の選択と習慣の積み重ねによって築かれるもの。アランは、幸福を得るためには積極的な行動が必要であり、不幸に思い悩むのではなく、それを振り払うことの大切さを説いています。

この記事では、幸福に近づくための具体的な実践方法を解説します。日々の暮らしの中で、幸福を意識し、習慣として育てるヒントを得られるはずです。あなたの人生をより豊かなものにするきっかけになれば嬉しいです。

三大幸福論

三大幸福論と呼ばれている幸福論があります。
著者はヒルティ(1833〜1909)、アラン(1868〜1925)、ラッセル(1872〜1970)です。
これらの幸福論は、幸福とは何かを知るために参考になる考えだと思います。
今回、アランの幸福論より、幸福とは何かを紹介します。

アランの幸福論

アラン(1868-1951)はフランスの哲学者であり、本名をエミール・オーギャスト・シャルティエといいます。 30代の頃、新聞に週一回コラム(プロポ)を寄稿する際に「アラン」というペンネームを使用しました。彼は生涯にわたり5,000を超えるプロポを執筆し、そのテーマは美学、宗教、政治など多岐にわたります。

その中でも、幸福について論じたプロポをまとめたものが『幸福論』です。アランは1907年頃から幸福についての考察を重ね、それらを集約した『幸福論』を1925年、57歳のときに著しました。本書では、幸福は偶然ではなく、習慣の積み重ねによって育まれるものだと説き、人が能動的に幸福をつかむための姿勢を提示しています。

出典;アランの幸福論 エッセンシャル版 齋藤 慎子翻訳

情念を振り払い、幸福になろうとする行動が必要

不幸というのは、退屈な時、何も行動をしないでいると、過去の後悔、未来の不安によって、不幸なことばかり思い浮かんでしまいます。
そのような怒り、悲しみ、怯えなどのネガティブな感情を、アランは情念と呼びました。
人がネガティブな事に敏感なのは、生物として、敵の存在を早く知り、身を守るために身についてものです。ネガティブな事に敏感なのはやむを得ない事ですが、それは安全が確保された現代の社会では必要のないことです。その情念に心が支配されると不幸な気分になってしまいます。
情念にとらわれないようにする方法は、心の中に現れた情念に無関心になり、幸福になるための行動をすることです。

「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せになるのだ」

これは、アラン幸福論で有名な言葉です。
これは積極的に幸福になるための行動をして、幸福になろうとする行動です。

例えば、朝、鏡を見たとき、笑顔を作ってみる。
すると幸せな気持ちになっていくはずです。
「幸せなら手を叩こう」という歌でも、幸福を表す行動をして、態度で示そうよ、と言っています。しあわせに向けた行動、笑顔を作り、挨拶をし、姿勢を整えたりすることが、幸せになるための第一歩になります。

自分の意思で仕事をして、幸福になる

アランは、仕事は自分で考えて、自分の裁量で仕事を実行できている実感があれば幸福、人に言われてする仕事は幸福ではない。と言っています。
困難な仕事であっても、自分で考えて試行錯誤しながら実行することが重要であり、人から言われる仕事は、他人の畑を耕しているようなもの、だと言いました。
また、物事を楽しんで取り組むから上達するし、上達すると仕事を楽しめます。

例えば、音楽が好きなら、音楽を聴くだけでなく、演奏する訓練をすると、より深く音楽を楽しむことができます。自分の演奏を評価するのは他人がすることです。音楽を演奏すること自体を楽しむ。すると、音楽を聴くことをより深く楽しむことができます。

「楽しめる事は能力の証」

これは、アリストテレスの言葉です。「上達すると仕事を楽しむことができる』というアランの考え方とも共通かと思います。

つまり、仕事は、以下のような心得で行うことが幸福です。
・受け身でなく、自分で考えて、自分の裁量行う。
・自分自身で行動することで、その仕事を楽しむことができる。

笑顔で、ご機嫌でいることは、礼儀作法である

あなたは、笑顔で機嫌よく過ごすことが、ただの個人の気分ではなく、周囲に影響を与えるものだと考えたことはありますか?

幸福な態度は伝染します。明るく朗らかな振る舞いは、周りの人の表情を和らげ、温かい気持ちを広げます。反対に、不機嫌でいると、その空気は知らず知らずのうちに伝播し、場の雰囲気を曇らせてしまいます。

笑顔は連鎖します。誰かが笑顔でいると、その笑顔は自然と周囲へと広がり、結果として自分自身も笑顔になれるのです。だからこそ、幸福を生み出す行動として、笑顔を意識し、周囲の人に向けることは、ただの個人の態度ではなく、ある種の「礼儀作法」と言えるでしょう。

私も、あなたが上機嫌で過ごせるよう祈っています。その願いが叶うことは、私自身の喜びでもあり、同時にそれを受け取った人にも幸福を届けることになります。

笑顔や上機嫌は、ただの個人的な感情ではなく、人と人との間で贈り合うことのできる価値あるものです。それは、世の中を少しずつ良くしていくための礼儀作法であり、私たち全員の責任とも言えるでしょう。

もちろん、人生には困難があり、ずっと辛い目に遭ってきた人にとって、「笑顔でいることは礼儀作法だ」と言われても、すぐに実践するのは難しいかもしれません。しかし、そんなときこそ、もう一度、アランの有名な言葉を思い出してみてください。

「幸せだから笑うのではない。笑うから幸せになるのだ。」

あなたの笑顔が、誰かの幸福へとつながり、それがまたあなた自身の幸福を育んでいく——そんな温かい連鎖を広げていけたら、きっと素敵な世界になるはずです。

幸福な時間を増やすには

幸福な時間を増やすために、私たちができることは何でしょうか?アランの幸福論をヒントに、日々の暮らしの中で取り入れられる5つの行動を考えてみます。

情念を振り払う

過去の後悔や未来への不安にとらわれず、今この瞬間に意識を向けることで、幸福な時間は増えていきます。 例えば、朝起きて窓を開け、外の空気を深く吸い込んでみる。鳥の鳴き声に耳を澄ませる。朝日を浴び、空に浮かぶ雲の動きを眺める。こうした小さな瞬間を意識することで、幸福を実感できるのです。

自分の意思で行動する

幸福は偶然訪れるものではなく、自分の意思で生み出すものです。「いつか幸せになりたい」と願うのではなく、今できることを選び、積極的に行動することが大切です。やりたいことを見つけ、一歩を踏み出すことで、幸福な時間を増やせます。

感謝する習慣を持つ

私たちの感情は習慣によって形作られます。だからこそ、幸福を育む良い習慣を持つことが重要です。例えば、今日の出来事の中で感謝できることを振り返り、記録してみる。小さなことでも「ありがたい」と感じる習慣を持つことで、幸福をより感じやすくなります。

人との交流を大切にする

アランは、人との関わりの中で幸福は生まれると説いています。ちょっとした親切や気軽な会話は、自分だけでなく周りの人にも幸福を広げます。誰かとの心温まる交流を大切にすることで、日々の幸福度を高めることができます。

笑顔を習慣にする

上機嫌でいることそのものが幸福です。朝、顔を洗ったあと鏡を見て笑顔を作る。ただそれだけで、少しずつ幸福な時間が増えていくのを感じられるはずです。笑顔は連鎖し、周囲にも幸福を広げます。

心の使い方次第で、幸福な時間は確実に増やしていけます。あなたが今日、どれか一つでも実践してみることで、幸福を感じる瞬間がさらに増えていくかもしれません。

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