幸せのメカニズム 実践・幸福学入門−2 幸福のアンケートと分析/前野隆司さんより


幸福とは何か、納得した上で幸福の時間を増やしたいと思います。
そのために、いちど真面目に、幸福とはなんなのか考えてみたいのです。
今回、幸福学の第一人者の前野隆司さんの
「幸せのメカニズム 実践・幸福学入門」の幸福の因子分析を参考にして、
引きつづき幸福とは何かを考えてみたいと思います。
みなさまの幸福のために少しでも役に立てれば嬉しいです。

幸福のアンケートの設計

幸福度に関するアンケートで、
幸福と感じているかどうか(例:とても幸福からとても不幸まで)、
また幸福の原因となる項目について調査し分析することにより、
幸福を統計的に理解し、幸福になる方法を明らかにしたいと、前野先生は考えました。

幸福の要因は、たくさんあります。
どのような要因があるのかは、世界で研究されています。
書籍「幸福のメカニズム 実践・幸福学入門」によると、
各国の研究者が考えた幸福に影響する48項目を示しました。
そのうち自分でコントロールできて長期的幸福に影響の大きい29の要因を選びました。
また、アンケート被験者が幸福かどうかの結果として、
長期的幸福とポジティブ感情、ネガティブ感情を分析しました。

このアンケートの質問項目を厳選したものを、
下記のサイトで無料で実施することができます。
はじめて回答する時でも10分以内で(6分程度)で回答できます。
手軽に幸福度が測れますので、ぜひトライしてみてください。

株式会社 はぴテック 幸福度診断

幸福度の測定は、心の健康診断のようなものです。
定期的に測定してみると良いと思います。

長期的な幸福、Well-Beingに影響の大きい要因

前野先生は、幸福になるために選んだ、
自分でコントロールできる長期的な幸福に影響の大きい29の要因を選び、
それぞれ質問を3問づつの87問を作成し、アンケートで質問をしました。

長期的幸福に影響しない要因は、
主に他人と比較することによって得られる要因で、
所得、財産や社会的地位などが含まれます。
給料が上がったときは嬉しいが、すぐに慣れてしまい、
もっとあげたいと思うようになるため、長期的な幸福に寄与しない、
と考えられています。
そのような要因とその幸福への影響は、
過去の経済学者や心理学者が研究しており、地位財と呼ばれています。
一方、長期的に影響の大きい要因は、非地位財と呼ばれています。

また、治安の良さ、自由な社会かどうか、障害の有無など身体的要因は、
自分ではコントロールできません。
そのようなことは幸福になることはないので、
前野先生のグループは、幸福度調査の質問からは除外しています。

長期的幸福に影響の大きい29の要因(非地位財)は、
例えば以下のようなことです。
・楽観性があるか(なんとかなると考えるかどうか)
・他社との比較指向があるか(自分自身を他人と比較する傾向がある)
・人を喜ばせる傾向があるか
・自尊心はあるか
・感謝する傾向があるか
・親切か、
・勤労意欲はあるか
・仕事の熟練度の程度

幸福かどうか(長期的幸福度、ポジティブ感情、ネガティブ感情)

要因に対して、幸福かどうかの程度(結果)は、以下の3項目として調査しました。
・長期的幸福度(自分の人生に満足しているか)
・ポジティブ感情(喜び、やすらぎ、感謝、希望、興味など)
・ネガティブ感情(怒り、恐れ、不安、悲しみ、失望など)

分析方法は、多変量解析の因子分析

この分析の方法には、多変量解析の因子分析と呼ばれる方法を持ちいました。
因子分析とは、ある事柄の要因の値が、
いくつかの共通の事柄にグループ分けする方法です。

因子分析がどのようなものかを感覚的に理解するために、
因子分析の事例を紹介します。

因子分析理解のための事例1:5科目の成績

国語、数学、理科、社会、英語の5科目の成績で
数学の点数が高い人は理科の成績も高い、という傾向が見られることがあります。
以下のような3つの要因グループ(因子)が出てきそうです。
第1因子:数学と理科の両方の成績が良い人を示す因子
第2因子:国語、社会、英語の成績が良い人を示す因子
第3因子:全科目とも成績が良い人を示す因子

そのような分析で現れるのは、3つの因子です。
因子分析では、5科目の成績に影響する因子が3つあることを示ししてくれます。
因子の特徴を示す言葉は、分析者が考えなければなりません。
数学と理科が得意な人の因子名は、「理系能力」、
国語、社会、英語が得意な人の因子は、「文系能力」、
全科目が得意な人の因子名は、「勤勉さ」
といった具合です。

因子分析理解のための事例2:高齢者が転倒する場所

高齢者が自宅で転倒する場所を調査したところ、
トイレ、風呂場、廊下で転んだ回数が多いグループと、
玄関、ベランダ、階段で転んだ回数が多いグループに分けられることがあります。
転倒する場所(要因)のうち、トイレ、風呂場、廊下の因子は「滑りやすい場所」
玄関、ベランダ、階段は、第2因子「段差のある場所」
と名前をつけられそうです。

まとめ:長期的に幸せになるためには!

前野先生は、幸福度アンケートの結果より、因子分析を行い、
幸福になるための要因を4つの因子に分類し、因子名を付けました。

第一因子:自己実現と成長の因子(やってみよう!因子)
第二因子:つながりと感謝の因子(ありがとう!因子)
第三因子:前向きさと楽観の因子(なんとかなる!因子)
第四因子:独立とマイペースの因子(あなたらしく!因子)

この4つの因子が高い人は幸福で人生に満足しており、
ボジティブ感情が高く、ネガティブ感情が低いという結果が出ました。
幸福になるために目指す方向が、データをもとに、明らかになったのです。

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